歯科医師の学会では認定医・専門医という制度を設けています。 高度な知識や経験を持つ歯科医師として学会が認定した歯科医師に与えられる資格が認定医。認定医より、さらに高度な知識や技量を持つ歯科医師として学会が認定した歯科医師に与えられる資格が専門医です。
矯正治療を行う歯科医院を選ぶさいは、治療を受ける歯科医院を慎重に選んだ方が良いでしょう。矯正治療は難易度も高いため、歯科医の技術の差が、仕上がりに大きく影響てしまうこともあるからです。
虫歯治療の時のような感覚で、通いやすさや費用だけを基準にするのではなく、医師の技術レベルを重視する必要があり、信頼できる技術のある医師や医院で治療を行うことが何よりも大切になります。
しかし矯正治療を始めようと思っても、矯正治療における歯科医のレベルを患者さんが判断するのは容易なことではありません。そこで、歯科医を選ぶさいに参考になるのが資格です。
高度な知識や技量、経験を持つ歯科医師として学会が認定した歯科医師に与えられる資格が認定医。認定医よりさらに高度な知識や技量、経験を持つ歯科医師として学会が認定した歯科医師に与えられる資格が専門医です。
特に専門医の資格は簡単には取得できず、最低でも10年の経験が必要であり、なおかつさまざまな症例において一定の治療実績が必要になるなど、多くの基準を全て満たしていなければなりません。そのため専門医の資格を持つ歯科医であれば、矯正治療のレベルが高いと判断することができます。
こうしたことを踏まえていれば、歯科医のレベルを心配することなく矯正治療を行う歯科医院を探すことができるでしょう。
高度な知識や技量、経験を持つ歯科医師として学会が認定した歯科医師のこと。 ほとんどの学会に認定制度があり、それぞれ、さまざまなな認定基準で認定医となるための条件を定めています。学会により資格の基準が異なりますが、一般的には、研修指定病院での勤務期間や学会、講演会の出席回数を指定したうえで試験を行っていることが多いようです。以前の試験は、筆記試験がほとんどでしたが、最近は実技試験を行う学会も増えています。
矯正治療で全国的にも大規模な制度が、日本矯正歯科学会による認定医制度です。 日本矯正歯科学会認定医の認定基準は、大学病院をはじめとする指導機関・指導医のもとでの5年以上矯正専門に従事しての研修、規定数以上の治療症例、学術・臨床論文などの業績のほか、口頭試問を含む試験の合格などが条件になっています。こうして、日本矯正歯科学会矯正歯科学会が定めた臨床経験をクリアした上で、厳しい審査を受けて合格した医師のみが認定され、ようやく「認定医」になることができます。
認定医よりさらに高度な知識や技量、経験を持つ歯科医師として学会が認定した歯科医師のこと。
「専門医」は認定医よりもさらに高度な知識や技術・経験をもつ医師などに対して認定・付与されるものです。当然のことながら、認定よりもさらに厳しい資格審査をクリアしなければなりません。専門医認定を受けるためにはその専門医資格認定を行う学会で試験を受ける必要があります。歯科医師の場合は、5つの歯学系学会が設ける規定に基づき専門医資格を付与しており、歯科放射線専門医、小児歯科専門医、日本歯周病学会認定歯周病専門医、口腔外科専門医、歯科麻酔科専門医などの専門医制度が設けられています。
一般的には、学会登録医として登録し、学会認定教育施設等で一定の年数(研修年数は各学会によって異なる)研修を行い、その分野についての実習や講義を受け、所定の単位を取得し、筆記や実技試験に合格することで認定をする学会が多いようです。 また、認定から一定年数経ったところで、更新を義務付けている学会も増えています。
日本歯科医学会の専門分科会である、日本歯科放射線学会(歯科放射線学を中心とした学問を取り扱う専門学術団体)の制度です。 日本歯科放射線学会専門医が192名います。
日本小児歯科学会の制度です。資格取得後も、専門医としての高いレベルを維持するために、更新は5年ごとに行われ、学術誌への報告や学会発表など、さまざまな義務が課せられています。
日本歯周病学会の制度です。認定医取得後、学会が認めた研修施設で2年以上専門的な歯周病治療の知識と技量をマスターした医師に与えられます。
日本口腔外科学会認定の口腔外科専門医は、厚生労働省によって標榜することが認められた口腔外科手術の専門家です。この分野のエキスパートであることが証明されるだけに、認定されるためには厳しい条件を満たす必要があります。
条件は、初期臨床研修を修了後、6年以上の学会認定の研修施設に所属していること、施術実績が100例(うち40例以上は中難易度レベル)以上であること、口腔外科入院患者の全身管理経験と全身麻酔や救命センターでの実務経験があること、学会で演者としての発表経験があり、学術論文の著者であることを満たした後、3段階(書類審査・筆記と口頭試験・手術実地審査の試験に合格することです。
歯科麻酔専門医は、日本歯科麻酔学会の制度です。 条件は、5年間以上の研修(日本歯科麻酔学会会員として5年間以上)、日本歯科麻酔学会認定医資格を取得後、全身麻酔症例、全身管理症例または疼痛治療が500例あること、論文執筆があること、専門医試験に合格することなどです。
日本には歯学系学会だけでも100団体近くあり、そのうち矯正歯科に関する学会が9団体ほどあります。
会員数約7000名/1926年に設立
日本矯正歯科学会は、歯科矯正学を中心とした学問を取り扱う専門学術団体です。歯科矯正学・矯正歯科臨床の進歩・発展を目的にしており、学術大会の開催、機関誌の発行、認定医等の設定などの事業を行っています。
会員数1200名/1993年に設立
日本成人矯正歯科学会は、成長発育期以後の成人を対象とした矯正歯科医療に関する進歩・発展と学術の向上をめざし発足しまし、成人の矯正歯科医療の高度な水準の維持と向上と最適な医療を提供するための活動を積極的に行っています。
会員数約650名/1988年設立
日本舌側矯正歯科学会は、日本での舌側矯正を発展させていくため、会員が意見や技術を交換し、より高度な術式を習得するための場を提供することを目的として結成されました。アメリカやヨーロッパの舌側矯正学会の総会での発表やケースプレゼンテーションの支援も行っています。
会員数469名/1973年設立
日本臨床矯正歯科医会は、医師や診療所全体の「質の向上」のために、さまざまな勉強会や症例報告を行っています。また、治療途中に海外に転居や転勤、留学される患者さんが安心して海外で治療を継続できるように、アメリカ矯正歯科医会(AAO)や韓国、台湾、フィリピンなどの矯正歯科医の団体との交流も行っています。
会員数約520名/2002年設立
日本口腔筋機能療法学会は、口腔筋機能療に関する資質の向上、関連医学の進歩、および福祉と健康増進に寄与することを目指しています。 口腔筋機能療法は、1918年にアメリカで紹介されました。これを機に矯正歯科分野で注目され、小児歯科、一般歯科、外科矯正後の舌位の訓練、言語治療など各分野においても注目されるようになりました。現在では、咀嚼、嚥下、発音、呼吸などの口腔機能が重要視されるようになり、包括歯科医療の中でも口腔筋機能療法の役割が期待されています。そこで口腔筋機能療法に関する意見交換の場として、2002年に日本口腔筋機能療法学会が発足し、関連歯科医学の進歩発展のための活動を行っています。
会員数約1700名/1932年設立
東京矯正歯科学会は、日本矯正歯科学会の関東地区協力学会で、関東における歯科矯正学を中心とした学問を取り扱う専門学術団体です。 活動は、年1回の総会、年2回のセミナーおよび学術雑誌刊行などのほか、日本矯正歯科学会との連携により認定医の審査やその症例報告、商社展示など幅広く行っており、これらの行事を通して関東地区における矯正歯科の学術研究、臨床研究の中核的役割を担うとともに、会員相互の親睦や情報交換の場としての役割も果たしています。
会員数1020名/1958年設立
近畿東海矯正歯科学会は、日本矯正歯科学会の近畿・東海地区協力学会で、近畿・東海地方における歯科矯正学を中心とした学問を取り扱う専門学術団体です。 学会の活動は、年1回の総会および年1回の学会雑誌発刊など。学術大会では特別講演、症例展示、日本矯正歯科学会との連携による認定医の更新審査およびその症例報告、商社展示などを実施しています。
会員数約460名/2005年設立
九州矯正歯科学会は、日本矯正歯科学会の九州地区協力学会として、九州における歯科矯正学を中心とした学問を取り扱う専門学術団体です。 急速な技術革新や医療革新が進む中、臨床的あるいは学術的な見地から、質の高い矯正治療を見極め、適確な情報を発信することが役割であり、矯正治療への信頼をさらに高めることにつながるよう矯正治療の質を保証し、歯科矯正学の進歩普及を図るために若手の育成に力を注いでいます。また、若手研究者・臨床家によるセミナーやアジアとの国際交流を推進し、国際化に対応し得る矯正医を育成することが必用と考え、そのための活動を行っています。
会員数約400名/1985年設立
日本ベッグ矯正歯科学会は、歯科矯正学、特にベッグ法による矯正歯科治療を中心とした学問を取り扱う専門学術団体です。ベッグ法による矯正歯科治療が日本に導入されて以来、長年その改良と普及に尽力してきた学会で、多くの歯科医師がより安全に、より確実におこなえる矯正治療をめざして、活動を行っています。
日本矯正歯科学会では、専門医が在籍する歯科医院を都道府県別に検索できます。 日本矯正歯科学会のホームページから、認定医・臨床指導医名簿一覧を利用して、自宅近くの専門医が在籍する歯科医院を探すことが可能です。
参照元:日本矯正歯科学会認定医・臨床指導医名簿一覧のページ http://www.jos.gr.jp/roster/
平成29年(2017年)4月から新専門医制度が始まりました。
新専門医制度ができた背景には、「果たして専門医の質の担保が保証されているのか」という議論があり、厚生労働省によって2011年から「専門医の在り方に関する検討会」が開催され検討を重ねた結果、新たな専門医制度の導入が決まりました。
従来の専門医制度は、矯正専門医ならば矯正学会、インプラント専門医ならばインプラント学会のように各学会が独自で運用する認定プログラムを修了することで専門医資格を取得することができました。そのため、領域間の統一ができず、専門医の質が一定ではないという問題がありました。また、2002年より開業医は専門医資格を広告掲載してもよいことになり、これを契機に専門医制度の種類が増加し、専門医資格は今や100異常にも及ぶ細分化が進むという結果をもたらしました。 こうした状況のなかで「果たして専門医の質の担保が保証されているのか」という議論が始まったのです。
新専門医制度は「専門医の質を高め、良質な医療が提供されること」を目的としており、従来の「各学会が独自で運用する認定プログラム」は、第三者機関である「日本専門医機構」によって運用されることになり、それまで各学会によってバラバラであった専門医資格の認定基準が統一されることになりました。
こうして根本的な見直しが求められている状況のなかで、歯科医療を提供するには、中立で公平な第三者機構の設置が必要不可欠であるという判断から2018年4月に日本歯科専門医機構が設立されました。
医科の新専門医制度のスタートと時を同じくして設立した、日本歯科専門医機構は、登録された歯科専門医および各学会の専門医制度を継続的に監督するとともに、継続的に質の向上を求めるためにそれらを支援し、新たに歯科専門医制度を立ち上げる学会については適切な協力を行います。また、歯科専門医を一括的に管理し公表することによって、患者さんが専門分野が見つけやすくなるとともに、歯科専門医へのアクセスにも利便性が高くなります。
平成26年の厚生労働省調査によると、医療施設従事者のうち6割以上が病院や医育機関に従事しているが、歯科医師の場合は、8割以上が診療所に従事しており、その多くはいわゆる一般歯科医として幅広い領域の診療を担っているそうです。また、広告可能な専門医資格取得者の割合は、医師が約6割弱であるのに対し、歯科医師は非常に少なく1割にも満たないそうです。このように、かなりの差異があることから、当然ながら歯科の専門医制度は医科と同等に検討することはできません。しかし、今後この制度がどのようになっていくのかは別として、これを機会に歯科専門医が、社会的な責任と、それ相応の責任がともなうことへの自覚が再認識されることになるのではないでしょうか。
一度決められた制度は、そう簡単に変えることはできないと思います。それは組織が大きければ大きいほど困難なことでしょう。だからと言って、決められたものの適否を無視して、そのまま続けていては、急激に変化する社会の中では瞬く間に通用しなくなってしまいます。 歯科の新専門医制度の制定には相当な時間を要することが予想されますが、患者さんが安心して適切な歯科医療が受けられる環境と、歯科医師が真摯に自己研鑽を重ねつつ、きちんと評価される状況が整うことが期待されています。
群馬県の中で20万人を超えるエリア※ごとの医院の選出基準(調査日時:2015年5月)
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※参照元:群馬県総務部統計課「群馬県の人口と世帯」https://toukei.pref.gunma.jp/kokusei/data/27kakuhou_gunma.pdf[PDF]